第2章 3.(6)消費者裁判手続特例法
2022年10月20日 2022年10月20日
第2章 わが国の最近の立法における立ち位置
3.最近の我が国における立法の現状
(6)消費者裁判手続特例法
これは平成二八年十月に施行された法律ですが、その立法趣旨は、消費者トラブルの被害者に代わって公認された「消費者団体」なるものが訴訟を提起して損害金の返還を求めることができるようにした、というものです。
これは端的に言うと、多数の被害者が発生するという消費者トラブルについて「特定適格消費者団体」という訳の分からない団体が消費者の個別の依頼なく、トラブルを起こした企業を訴えることができる、というものです。
そして、それにより勝訴できたら〝団体〟が一般消費者に呼びかけ、賠償金を〝分配する〟という仕組みのようです。
こんな制度があること、読者の皆さんご存知でしたか?
実は弁護士である私も知りませんでした。新聞報道で最近初めて知った次第です。
一体、誰がこんな法律を望んでいたのでしょうか。忖度するにこれは個別であれば多数の訴訟に追われる裁判所の煩雑な事務(手間)を省くために〝一括処理〟を狙ったものかもしれません。
そうだとすると、この法律は究極的には国民の為の法律ではないのだ、とも言えます。即ち、〝不要〟な法律です。
現に、この法律が施行されてから一年半近く経った今(平成二八年十月施行)、現実には未だに一件も提訴されていないそうです。
新聞報道によると〝実態把握〟が困難だからか、と評されていましたが、その評価が〝的を得ている〟としたら、正にこの法律は「何の為の立法だったのか」ということになります。
阿呆らしい限りです。ひょっとしたら〝天下り先〟?
・・・つづく