第2章 4.(1)新しい法領域の場合

2022年11月02日  2022年11月02日

第2章 わが国の最近の立法における立ち位置

 

4.改めて立法の必要性

 

(1)新しい法領域の場合

前者の場合は「その立法止むなし」ということが多いでしょう。

〝まだ見ぬ領域〟ですから経験材料が乏しく、人々は臆病になりがちだからです。

しかし、その場合も「内容の適切性」に十分注意してもらいたいものです。

〝行き過ぎた〟規制であったりすることがないようにして頂きたい。

 

最近では〝ドローン〟という「空飛ぶ無人機」の規制をどうするか、というのが目新しい問題ですね。

空を飛ぶ物体を規制する法律としては「航空法」というものがあるそうですが、その改正によって「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または自動操作により飛行させることができるもの」(ドローン等)について、それなりに規制がかけられたようです(その詳細については説明を省かせて頂きます)。

今までなかったモノ、とは言え、それを使用(活用)することの有益性と有害性を綿密に利益衡量した上での規制立法がなされるべきでしょう。

「ちゃんとそれをやっていますよ」という声が聞こえますが、それでも結果的に〝不具合〟が露呈するものです。

その面でも素人の私ですが、後々、〝不具合〟が出てくることは容易に予測できます。嗅覚的にそれは分かります。

おそらく、経済界の要請と政界との綱引き、だと思います。

 

また、いわゆる〝民泊〟に関する「住宅宿泊事業法」というのもそれに近いものがありますね。

これは東京オリンピックを前にした現在でも、外国人旅行者が年間三千万人前後になろうとしている状況において、彼らの宿泊先を確保してやろうという法律です。

平成二九年に成案となり、平成三〇年六月に施行されました。旅館業法との関係で既存業者の保護と新参者の業務参入容認との利害調整ですね。

 

この法律は、旅館業法上の「簡易宿所」と異なり、届け出を行うだけで民泊事業を営むことを認めるものですが、民泊は営業日数が年間一八〇日に制限されており(条例による更なる制限もあり得ます。)、事業としてペイするか不透明な為か、届け出件数は事前の想定を大幅に下回っているようです。

 

それに比して、簡易宿所の新規許可件数は増加傾向にあるとのことですので、わざわざ、上記「住宅宿泊事業法」を作るまでもなく簡易宿所の許可基準を緩和するだけで〝需要〟に対応できたのではないかとの疑念が拭えません。

 

 

・・・つづく